こんにちは、デザイナーのTです。
最近は業務でもAIを活用する機会が増えてきました。
Photoshopも例外ではなく、アプリ内でAdobeの生成AI「Firefly」が使えるようになり、実用的なシーン──たとえば「背景の拡張」や「不要物の除去」などで非常に重宝しています。
とはいえ、「ゼロから画像を生成する」といった使い方は、まだ実務ではあまり馴染みがないのではないでしょうか。
私自身も、生成画像をそのまま実務に使うのはまだ少しハードルが高く、うまくいかないこともしばしば。別の方法を取ることも多いのが実情です。
そこで今回は、プロンプトの書き方を練習する目的で、Photoshopの生成AIを使ってゼロから人物画像を生成してみたので、その過程を備忘録としてまとめてみました。
「画像を生成」パネルを開く
まず、Photoshopの上部メニュー「編集」→「画像を生成」から、生成用のパネルを開きます。

生成したいイメージをプロンプトとして入力します。このとき、できるだけ詳細に記述することで、理想に近い結果が得られやすくなります。キーワードは句点(「、」)で区切る形でOKです。
初回は「メインの被写体」→「背景」→「被写体の様子」の順に指示を入力しました。
「コンテンツタイプ」は「写真」を選択。右側の「プロンプトのインスピレーション」では、選ぶとサンプル画像に使われたプロンプトが自動で挿入されます。
また、参照画像を使って「スタイル」や「コンポジション」を指定することも可能です。
- スタイルとは、色味や質感などのビジュアル全体の雰囲気を統一するための指定
- コンポジションとは、構図や被写体の配置を指定するための機能
今回は「インスピレーション」や参照画像を使わず、プロンプトのみで生成を行いました。
1回の生成で3パターン作られるので、何度か試してみます。

初回でも思った以上に良い仕上がりになりました。
プロンプトを調整しながら再生成
ここからは、イメージに近づけるためプロンプトを調整しながら再生成を繰り返します。
たとえば:
① 空の青さを強調したくて「青空」という単語を追加で入れたところ、被写体と同じくらい目立つ存在として扱われてしまいました。そこで「背景の空は青空」と書き換えることで、意図が伝わり構図が改善されました。
② 日の光の雰囲気が夕方寄りだったため、「日中」と入力してみたものの変化がなく、「天気のいい朝」と表現を変えたところ、明るく自然な光になりました。

画像全体としてはかなり理想に近づきましたが、やはり手の描写に不自然さが残ります。
調べたところ、手の不自然さは「手」に関するプロンプトの指示が曖昧だったためのようです。
「生成塗りつぶし」で部分的に手直し

Photoshopでは、生成画像の上に新しいレイヤーで部分的な生成を加えることができます。
なげなわツールで右手を囲み、「生成塗りつぶし」で以下のように入力しました。
「右手、力が入っていない自然な指先、4歳の手」

特に「右手・左手」といった指定や、「手のポーズ」を明確にすることが重要なようです。
3回生成して1枚成功する、くらいの成功率ですが、精度がグッと上がります。
また、「人物の年齢」を加えることで、手のサイズ感や質感も調整され、より自然に仕上がりました。

他の部位も同様に調整
左手も同じ手順で修正し、次は洋服に着手しました。
被写体の身体の向きに対してズボンのチャックの方向がやや不自然だったため、以下のプロンプトで修正します。
「4歳の幼児、デニムのショートパンツ」

手の影も自然に馴染んでおり、良い仕上がりになりました。

次に、最初に白シャツで生成していた衣装をチェック柄シャツへ変更してみます。
シャツ部分をスポット選択ツールで囲み、「生成塗りつぶし」で指示しました。

複数回生成して、模様やディテールが理想に近いものを選びました。

こうして、Photoshopの生成AI機能だけでゼロから人物ポートレートを完成させることができました。
おわりに
今回は、参照画像やスタイル指定を使わずに、プロンプトのみで人物画像をゼロから生成してみました。
手の調整など、細部の修正は必要でしたが、全体としては非常に精度が高く、驚きのある体験でした。 なによりPhotoshop内で完結できるため、そのまま加工作業へ移行できるのも大きな利点です。
プロンプトの精度次第で出力結果が大きく変わるため、今後も実践を通してコツを掴んでいきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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