長引く売り手市場に伴い、近年では新卒者1人あたりの内定は2～3社が当たり前となっています。そのため、「せっかく内定を出したのに辞退されてしまった…」「内定を辞退する人が多くて、目標の人数を下回ってしまった」という状態になることも珍しくありません。

優秀な人材を確保するためには、「内定を出したら終了」ではなく、入社するまでフォローし続けることが必要になっています。

そこで本記事では、内定者フォローが必要な理由と、具体的なフォローの方法を紹介します。

内定者フォローの必要性・目的について

「内定者フォローなど今まで考えていなかった」「内定者フォローはなぜ必要なの？」と思われる方もいるでしょう。まずは、内定者フォローの必要性や目的についてご紹介します。

内定者フォローの必要性

冒頭でも説明しましたが、近年の売り手市場の影響で、学生は1人あたり平均2.2社の内定をもらっています。当然、入社する会社は1社なので、内定が出た会社の中から最終的に1社を選び入社することになります。

マイナビの調査によると、2018年新卒の辞退が3割以上あった企業は53.5％にも上っています。

内定を辞退された企業としては、今までかけてきた時間と労力が無駄になってしまうと言えるでしょう。また別の人材を一から探さなければならず、二度手間になるだけでなく、金銭的な損失も大きくなります。

今や、内定を出したからと言って確実に入社してもらえるとは限りません。そのため、内定辞退を防ぎ、さらに内定者が入社後スムーズに業務を開始できるようにするためには、内定者へのフォローが必要となります。

内定者フォローの目的

「内定者フォローが必要なことは分かったけれど、具体的に何をフォローしていくの？」と目的について悩む方も多いのではないでしょうか。そこで次に、内定者フォローをする3つの目的を紹介します。

◆内定者フォローの目的1.内定辞退を防ぐため

何度も繰り返しますが、一般的に学生は2〜3社、優秀な学生の場合は5〜6社から内定をもらっていることも少なくありません。当然、入社できるのは1社のみ。内定を出してからは、企業が学生に選んでもらう立場になります。

例として、IT企業の総合職の内定を2社持っている、マーケティング職志望の学生の場合を見てみましょう。

学生は、第一志望のA社、第二志望のB社それぞれから内定をもらっています。

内定後、第一志望の会社Aでは一年目は営業職になることが分かりました。一方、会社Bでは一年目から希望のマーケティング部署に配属されることが約束されています。この場合、たとえ内定が決まる前に志望度が高かった会社であったとしても、希望する職種につけないことから、会社Aの内定を断る可能性が高いのです。

内定を出すまでは、学生は会社の事業を見て判断します。一方、内定を出した後は、実際入社した後のキャリアや働き方を見て判断します。そのため、学生に「この企業だと自分の理想のキャリア形成ができる」「この企業で働きたい」と思ってもらうように、フォローしていくことが重要です。

◆フォローの目的2.内定者の悩みを解決するため

学生が志望する企業から内定を受けて一安心するのは束の間、内定後は次の悩みに襲われます。

社会経験がない学生は、入社後の自分や進路選択に自信が持てません。「自分はこの会社でうまくやっていけるのかな」「この会社を選んで良かったのかな」「もっといい会社があるのではないか…」など悩みは尽きず、いわゆる内定ブルーの状態になります。

入社までの期間に入社意欲が落ちてしまい、内定辞退をする学生も少なくありません。社会で働くにあたっての悩みや不安を解決し、スムーズに入社へつなげるためにも、研修を行ったり、内定者インターンを行うなど、実際に働いているところをイメージさせることがポイントです。

◆内定者フォローの目的3.スキルアップのため

内定ブルーが解消されると、新しい人生に向かって前向きな考え方ができるようになります。新しい職場の中にいる自分を想像し、入社までに何をしたらいいのかを考えられるようになった段階です。

この時に業務に必要なスキルや、課題を与えてフォローすることが効果的です。内定から入社までの長い期間を充実して過ごしもらい、入社後スムーズに業務に入るためのスキルアップの場を提供します。
[show_next]2.内定者の入社における不安とは？[/show_next]