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介護職は採用難なのか?介護職の採用状況、採用が困難な理由、人手不足の対策法について解説

総務省統計局の調査によると、2022年時点での日本の総人口は前年度比で82万人減少しています。

 

一方で、65歳以上の高齢者は3627万人と前年度比で6万人増え、過去最多を記録しました。これは総人口の29.1%となります。少子化が進んでいる日本では、今後も高齢者が増えていくのは確実といえるでしょう。高齢者が増えてくると当然介護を要する人も増え、今まで以上に介護職員が必要とされてきます。

 

しかし、現在の介護職は採用難が続いており、介護の現場では人手が足りなくて困っているとの声が多く聞かれます。日本の介護業界は現在の状況が続くと2045年には37万人以上の人手不足が予測されており、人手不足の解消は喫緊の課題です。

 

そこで本記事では、介護職の採用状況や介護職の採用が困難な理由、人手不足の対策・解消法について解説します。

 

介護職の採用状況

ここでは、介護職の採用状況はどのようになっているかについて解説します。

 

介護分野の有効求人倍率

厚生労働省の調査によると、介護分野の有効求人倍率は地域ごとに差異があるものの、2022年2月時点での介護分野における平均値を見ると3.55倍です。全体の平均有効求人倍率が1.14倍であることと比べると3倍近くであり、他の業界と比べてかなり高い水準となっています。なかには、東京都の7.05倍、愛知県の6.16倍、岐阜県の5.93倍など平均値を大きく上回る都府県もあるようです。

 

2023年6月時点での速報値でも、倍率は3.34倍であり依然として高い水準を保っていることが分かります。

 

このように有効求人倍率をみても、介護分野では全国的に人手不足であることは明らかです。他の分野では有効求人倍率が1.0倍前後で推移している業種も少なからずあり、その中でも介護分野の人手不足は特に顕著であると言えるでしょう。

 

生産年齢人口の減少

厚生労働省の調査によると2020年10月1日時点における日本の総人口は約1億251万人となっていますが、近年は減少傾向にあります。2065年には日本の総人口は9,000万人を割り込み、65歳以上の高齢者の割合は38%台になるとの予想もあるようです。

 

一方、2065年には15歳から64歳までの生産年齢人口の割合は過去最低の51.4%にまで落ちると予想されており、人手不足が極めて深刻になる状況と予想されています。高齢者が大きく増えることで介護サービスの需要も大きく増えますが、生産年齢人口の減少によって介護職を担う人材の需要と供給のバランスを欠いた状態となり、より一層重要な問題になるのは明らかです。

 

出生率は毎年のように下がり続けており、生産年齢人口の減少は歯止めがかからない状況です。

 

介護職の2025年問題

日本では75歳以上が後期高齢者と定義されています。2025年には人口の中で4分の1を占める団塊の世代が後期高齢者となり、医療・介護ニーズが今までにも増して高まると見込まれる状況です。

 

介護業界の現在の状況が続くと、2025年時点における介護人材の供給見込みは215.2万人であるのに対し、介護人材の需要見込みは253万人となります。約38万人不足するとの予想です。これが、いわゆる介護業界の2025年問題です。

 

介護職員の数は、高齢化・核家族化の進行や介護離職問題を背景に2000年に介護保険制度が創設されてからは増加傾向にありますが、依然として不足している状態が続いています。

 

また、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるとされており、介護負担が増え人材不足に拍車をかけるとの見方もあるようです。

 

介護職の採用が困難な理由

ここではなぜ介護職の採用が困難なのかについて解説します。

 

給与水準

厚生労働省の調査によると、介護職員の平均月額給与は31万5,850円と報告されており、全産業の平均が39万1,408円であることと比べるとかなり低いのが現状です。

 

介護職員の給与が低い理由は、専門性が正当に評価されにくいこと、介護保険制度による介護報酬の制限があること、介護施設の内部留保費が高いことの3点が考えられます。

 

専門性については介護の仕事は無資格・未経験でも務まることから専門性の低いイメージがあり、専門的な知識やスキルを持っていても給料に反映されにくいことが難点です。

 

介護報酬については介護保険制度で介護費用の支払いに限度が設定されており、国が定めた以上の金額をもらえないとの理由があります。

 

内部留保については、介護報酬に制限があることから、急な支出に備えて内部留保費を多く貯めている介護施設が多いためです。

 

業務内容

介護職の業務内容は決して楽なものではなく、危険・きつい・汚いという「3K」のイメージもある業種です。

 

「危険」に関しては、高齢者ゆえに転倒してケガを負ったり、介護職員自身も感染症に感染するリスクと隣り合わせとなります。

 

「きつい」に関しては、移動や身体介助など体力を使う仕事が多く、また夜勤もあって生活リズムが乱れがちなことが挙げられます。

 

「汚い」に関しては、排泄の介助やおむつの交換など汚物を取り扱う仕事が代表的なものです。

 

介護の業務内容はこのように身体的・精神的に負荷の高い仕事であり、要介護者の健康を維持して快適に生活するためには欠かせないものとはいえ、仕事の大変さが人材採用を難しくしています。また、前述したように仕事の大変さに比べると給与水準が低く、割に合わないと離職する人も少なくありません。

 

離職率の高さ

介護業界の離職率は2021年度時点で14.1%であり、2010年度の17.8%と比べると改善の傾向がありますが、2019年度を除いて全業種の平均離職率を上回る状況が続いています。全業種の平均離職率よりも極端に高いわけではありませんが、人材不足の介護施設から職員が離職してしまうケースが多いのが現状です。

 

介護労働安定センターの調査によると、介護職からの離職理由で多いのは、職場の人間関係に問題があった、施設の理念や運営のあり方に不満があった、収入が少なかったなどです。

 

介護業界の離職率の高さは業界の構造自体に問題があるとも言えます。離職率が高くても十分な人数の人材を新規に獲得できれば問題はないのですが、先述したように介護業界の有効求人倍率は3倍以上であり、介護施設間での人材獲得競争も激しいのが現状です。

 

介護業界における人手不足の対策・解消法

ここでは、介護業界の人手不足を解消するにはどのような対策方法があるのかについて解説します。

 

長く働きやすい労働環境を整える

介護労働安定センターの調査によると、介護職に携わる方の悩みとして人手不足の他にも労働環境が整っていないことが上位に挙げられています。長く働きやすい労働環境を整えることは離職率の低下に直結するものであり、業務効率を向上させることやストレスのない職場を作ることが肝要です。

 

業務効率を向上させる方法としては、ITツールの導入が考えられます。例えば介護職員の管理を紙媒体で行っているのであれば、勤怠管理システムを導入することで大幅な時間短縮・工数削減が可能です。

 

ストレスのない職場を作る方法としては、ユニットケアの導入が考えられます。ユニットケアとは介護施設入居者の10名程度を1ユニットとし、決まった職員がケアにあたる介護方法です。これにより、集団ケアにありがちな人間関係のトラブル予防が期待できます。

 

介護関連資格の取得推奨

介護関連の資格取得を推奨することで、人手不足による特定職員の負担の解消、職員のモチベーション向上、資格取得と連動した給料アップによる離職防止などのメリットがあります。

 

介護業界では年齢によるキャリアアップの制限がないため、無資格・未経験の若い方も中高年の方も資格を取得してキャリアアップできるのは介護職ならではの強みです。資格を取得すれば給料アップの他にも仕事の幅が広がるため、本人だけではなく介護施設にとってもメリットとなります。

 

資格によっては助成制度があり、例えば国家資格の介護福祉士では養成学校在学中に5万円、入学時と卒業時に20万円の借入が可能で、合格後に介護職として5年勤務すれば返済が免除されます。

 

資格取得は職員の自発性に任せるよりも、施設主導で進めたほうが高い効果を見込めるでしょう。

 

採用に力を入れる

人手不足の状況を改善するためには、上述した労働環境の整備や資格取得の推奨だけでは不十分です。必要な人材を確保・採用しなければ抜本的な解決とはなりません。

 

求人を出しても思うように応募者が集まらず、採用しても早期離職されると採用に対して消極的になりがちですが、ここで諦めてしまっては人手不足を解決することはできません。アプローチ方法やターゲットを工夫して積極的な人材獲得に取り組むことが大切です。

 

アプローチを工夫する方法として、ハローワークや求人広告だけでなく転職エージェントや人材紹介会社も活用するといいでしょう。採用のターゲットを広げるには外国人労働者を採用するのも一つの手です。技能実習制度では2年から5年の在留が可能で、在職中に介護福祉士資格を取得すれば永続的な在留が可能となります。

 

まとめ

介護業界では人手不足は多くの介護施設の継続的な存在が危ぶまれるほど深刻な状況です。

 

今後少子高齢化がますます進行していくことを考えると、人手不足を完全に解消するのは困難かもしれません。この問題を少しでも緩和すべく、介護施設が積極的で具体的な対策を打つことは可能です。

 

介護施設が取り組むべきこととしては、給与水準の見直し、健全な経営を基本とした安定した雇用の創出、福利厚生の充実、魅力ある理念の確立などが考えられます。どれも一朝一夕に実現できるものではありませんが、介護職員のことを考えた経営努力をしていることが伝われば介護職員のモチベーションもあがることでしょう。

 

国でも介護職員の待遇を改善させるべく取り組みを進めており、今後給与水準が改善されることが期待できます。

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