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採用サイトで行えるABテストは?ABテストの方法について解説
ある統計によると、日本では約70%以上の企業が採用活動の効率化と採用の質向上のために、採用サイトを立ち上げているとされています。
採用サイトには、企業情報、求人情報、応募方法、福利厚生・働く環境、FAQ(よくある質問)、社員インタビューやブログ、応募後の流れといった情報が含まれるのが一般的です。
これらの情報を箇条書きにして並べただけでは、求職者の関心を引くことができないため、それぞれの企業は採用サイトのデザインや配色、キャッチコピーなどに工夫を凝らしています。
しかし、どれが最適解なのか迷うこともしばしばです。そこで、求職者にとって魅力的な採用サイトを作り上げる手助けとなるのが、ABテストです。
本記事では、ABテストの基本的な情報と、採用サイトで行えるABテストの方法について解説します。
ABテストについて
ここではABテストにまつわる基本的な情報について解説します。
ABテストとは
ABテストとは、2つの異なるバージョン(AとB)の要素を比較し、どちらがより効果的かを評価する手法です。
主にマーケティングやウェブサイトの最適化、製品開発などで使用されます。
具体的には、ユーザーがどのバージョンをより好むか、またはどちらのバージョンが目標(例えば、クリック率や購入率、応募率など)を達成するのに有効かを測定する手法です。
Webサイトでもよく実施され、Webページの改善やアクセスの分析などに役立てられています。基本的にはAかBのどちらかに絞って結果を分析するため、単純で分かりやすいことが特徴です。
大きなコストをかける必要もなく、Webやマーケティングの知識がない方でも比較的簡単に行うことができます。
採用サイトでABテストを行うメリット
採用サイトでABテストを行うことにはいくつかのメリットがあり、例えば、応募率の向上、ユーザー体験の最適化、データに基づいた意思決定などが挙げられます。
応募率の向上については、ABテストによって採用サイトのデザインやコンテンツのどれがより多くの応募を引き出すかを測定でき、応募率を高めるための最適な選択肢を見つけることが可能です。
ユーザー体験の最適化については、ABテストを行うことで求職者がサイトを使いやすく感じ、ストレスなく応募できるように調整できます。これにより、ユーザーエクスペリエンス(UX)を最適化することが可能です。
データに基づいた意思決定については、ABテストは実際のデータをもとに、どの変更が最も効果的かを判断するため、直感や推測に頼ることなく、科学的に改善点を見つけ出すことができます。
採用サイトで行えるABテストの方法
採用サイトでは以下に記すような方法のABテストが可能です。
メイン画像を変更する
トップページに表示される企業のビジュアルイメージ、オフィスの風景、社員の写真などのメイン画像を異なるバージョンで比較し、どちらがより効果的に応募者を引き付けるかをテストします。
メイン画像は、企業の文化や雰囲気を直観的に伝える重要な要素です。異なる画像を使って、応募者に対して企業の印象がどのように変わるのかを測定できます。
応募者によりポジティブな印象を与える画像を使用することで、採用サイト全体の魅力を高め、より多くのユーザーが応募ページに進む可能性を高めることが可能です。
効果を測定するためには、各バージョンを比較して、応募率、サイト内の滞在時間、クリック率などを測定し、その結果を踏まえて最も効果的な画像を特定します。
配色を変更する
ボタンの色、背景色、文字色などのサイトのカラースキームを異なるバージョンで比較し、どの色が最も求職者の関心を引き、最終的な応募を促すかを確認します。色は視覚的に非常に強い影響を与えます。
例えば、CTA(コール・トゥ・アクション:特定の行動を促すメッセージや要素)ボタンの色を最適なものに変更することで、求職者が「応募する」ボタンをクリックする確率を高めることが可能です。色が視覚的に目を引くと、ユーザーの行動を促しやすくなるため、応募率の向上につながります。
また、色には心理的な効果があり、例えば、青は信頼感や安心感を与える色であり、企業イメージの向上に寄与し、反対に、赤は緊急性やエネルギーを伝える色であり、行動を促すとされています。
色の効果を理解し、適切に選択することで、より多くの応募を引き出せる可能性を高めることが可能です。
ウィジェットの位置を変更する
採用サイトのウィジェットとは、採用サイトに組み込むことができる小さなアプリケーションやツールのことです。
これらは通常、ユーザー体験を向上させるために使用され、特定の機能や情報を提供する役割を果たします。
応募フォームやチャットボット、求人検索ウィジェットなどのウィジェットをページ内で異なる位置に配置し、どの位置が最もクリックされるか、最もアクションを起こすかを測定します。
ウィジェットの配置によって、求職者が必要な情報やアクションをどれだけ簡単に見つけられるかが変わります。
例えば、応募ボタンやフォームをページの最も適切な位置に配置することで、求職者がよりアクセスしやすくなり、最終的な応募につながる可能性を高めることが可能です。
求人一覧の表示件数を変える
求人一覧ページにおける表示件数を異なる数に変更することで、求職者がどれだけサイト内で滞在し、求人を閲覧するか、そして最終的に応募に至るかをテストします。
このテストにより、ユーザーエンゲージメント、コンバージョン率、サイトのパフォーマンスなどを測定することが可能です。
ユーザーエンゲージメントについては、表示件数が少ない場合はページの読み込み速度が速くなる可能性があり、ユーザーの離脱率を減少させる効果が期待できます。多い場合は一度に多くの求人を確認できるため、比較が容易になります。
コンバージョン率については、表示件数の違いによって、応募までの導線がどのように影響を受けるかを計測可能です。サイトのパフォーマンスについては、表示件数が多すぎると、ページ読み込み速度が低下する場合があります。
キャッチコピーを変更する
採用サイトのキャッチコピーとは、企業が採用活動において求職者に伝えたいメッセージや魅力を、簡潔かつ印象的に表現した短いフレーズのことです。
キャッチコピーは、サイトを訪問したユーザーの第一印象を決定し、行動を促す重要な要素です。適切なキャッチコピーを検証することで、応募率やエンゲージメントに大きな影響を与える可能性があります。
キャッチコピーのABテストは、ユーザーの心理や行動に与える影響を測るために実施します。特に採用サイトでは、応募意欲の向上、サイト滞在時間の延長、離脱率の低下を実現するために重要なテストです。
キャッチコピーは、「一緒に未来を創る仲間を募集!」「あなたの挑戦を待っています」など、数字や論理だけではなく、感情に訴えかけるコピーが効果を発揮する場合が多いです。
よくある質問の回答文を変更する
多くの企業では、よくある質問とその回答例をまとめたものを、FAQ(Frequently Asked Questions)として掲載しています。
FAQセクションは、求職者が応募前に持つ可能性のある疑問や不安を解消するための重要な部分です。よくある質問の回答が明確でわかりやすければ、求職者は企業や応募プロセスに対する信頼感を抱きやすくなります。
異なる表現や詳細のレベルで回答を提供することで、どのタイプの回答が最も理解しやすいか、または求職者に安心感を与えるかをテストすることが可能です。
FAQの回答文を変更することで、求職者の一般的な不安や疑問にどのように答えると最も効果的かを測定できます。
例えば、応募条件や選考フローに関する情報を簡潔に、あるいは詳細に書き換えることで、求職者が応募に進む意欲が高まるかもしれません。
フォームを見直す
応募フォームは求職者がアクションを起こす最終ステップであり、少しの工夫や変更が応募率やフォーム完了率に大きな影響を与える可能性があります。
ABテストの観点でフォームを見直すポイントは主に、応募フォームの構造や内容、入力項目数の変更、フォームのステップ数、デザインやレイアウト、必須項目の変更などです。
求職者が応募フォームを途中で離脱してしまうのを防ぐためには、フォームが簡潔で使いやすいことが重要です。フォームの項目を減らしたり、入力項目の順番を変えたりすることで、より多くの求職者が最後まで応募を完了する可能性が高まります。
ABテストを通じて、どのタイプのフォームが求職者にとって最も負担が少なく、スムーズに応募を進めやすいかを測定できます。
まとめ
ABテストは、特にWebマーケティングやUX改善の分野で広く活用されています。
日本では、特に企業がオンラインでの効果測定を行う際にABテストを導入することが一般的になりつつあり、採用サイトでもABテストの導入が進みつつあります。
採用サイトは一度公開したらそれで終わりではなく、求職者にとって魅力的であり続けるためには、継続的な見直しと改善が欠かせません。
ABテストは、このような必要性を満たすことのできる、非常に有効な方法です。ABテストを通じて採用サイトの有効性をデータで客観的に測定し、それに基づいて改善を繰り返すことで、競合他社とは一味違う、差別化された採用サイトを作り上げることができるようになることでしょう。