かつては採用ツールと言えば、新聞や雑誌で求人広告を出す紙媒体が主流でした。当時はインターネットが一般的ではなかったため、情報発信の手段として紙媒体がもっとも手軽で効果的でした。

しかしながら1990年代後半からインターネットが普及するにつれて、採用ツールも進化を遂げ、今や実に多くの業界でインターネットを活用した採用サイトが使われています。それは、人手不足が課題となっている介護業界も例外ではありません。
日本では高齢化が進み、介護を必要とする高齢者が増加している一方で、介護職に従事する人材の確保が追いついていないのが現状です。それを解決すべく、それぞれの事業者が工夫を凝らした採用サイトを制作しています。

本記事では介護業界の採用サイトに入れるべきコンテンツと、介護業界の採用サイト制作のポイントについて解説します。

介護業界の採用サイトに入れるべきコンテンツ

採用サイトに入れるべきコンテンツは多くの業界で共通するものもありますが、ここでは特に介護業界の採用サイトに入れるべきコンテンツについて解説します。

募集要項

募集要項では、募集職種と仕事内容、募集条件、勤務条件、福利厚生を記載するのが一般的です。介護業界では、必要とされる人材を募集要項に明記するといいでしょう。

例えば、介護職員、ホームヘルパー、生活相談員、看護師などがそれに相当します。
そのうえで、初任者研修（旧：ヘルパー2級）、実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャー（介護支援専門員）、社会福祉士、認知症介護実践者研修など、必要な資格も明記するといいでしょう。
これに加えて、デイサービス、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療型施設、児童福祉施設などの勤務先情報を記載することも欠かせません。

応募方法・選考フロー

応募方法はオンラインなのか、メールなのか、電話なのか、郵送なのかを明記すると求職者に分かりやすくなります。
それによって、履歴書や職務経歴書を電子データで提出するのか、紙にプリントアウトして提出するのかを判断できます。採用サイトに、応募フォームやエントリーシートへのリンクを設置しておくとより親切です。

選考フローについても、書類選考、筆記試験の有無、一次面接、二次面接といったように選考プロセスの流れを具体的に記載しておくと、求職者にとって全体の流れが分かりやすいです。
選考に要するおおよその期間も掲載しておくと、求職者が就職活動のスケジュールを組みやすくなります。短い動画を用意し、応募方法や選考のフローを紹介することで、求職者の安心感を高める方法もあります。

会社概要

会社概要を採用サイトに掲載することで、求職者に会社の理念や事業内容、規模などを伝え、応募への信頼感や安心感を与えることができます。会社の情報が明確であるほど、求職者は「安心して応募できる企業」と感じます。

特に介護業界では、利用者への誠実な対応が重要なため、信頼できる企業であることを示すのは大切です。
また、介護の現場では、会社の理念や価値観が働く上でのモチベーションや方向性に直結するため、これらを明示することで、自社の理念に共感できる人材が集まりやすくなります。
その他に会社概要として基本的に記載すべき項目は、会社の正式名称、所在地、代表者氏名、設立年月日、資本金、従業員数などです。

介護業界の採用サイト制作のポイント

介護業界ではどのようなサイトにすると求職者にとって魅力的な採用サイトになるか、そのポイントについて解説します。

温かみと安心感のあるビジュアルデザインにする

介護業界の採用サイトでは、「人」と「ケア」が中心である業界特性に合わせ、温かみと安心感のあるビジュアルデザインにすることが特に重要です。
これにより、求職者に「働きやすそうな職場」「信頼できる会社」というポジティブな印象を与え、応募意欲を高める効果が期待できます。そのためには、色使いに配慮するといいでしょう。

例えば、淡いブルーやグリーン、ベージュなど、穏やかでリラックス感を与える柔らかい色調が適しています。温かみを強調するために、オレンジやピンクなどの暖色をアクセントに使うのもいいでしょう。
また、角張ったフォントではなく、丸みのある親しみやすいフォントを使用すると、柔らかい印象を与えられます。

現場の写真や動画を使う

現場の写真や動画を使うことは、介護業界特有の「人と人とのつながり」や「職場の魅力」を視覚的に訴求するうえで効果的です。温かさや信頼感を伝える写真や動画を工夫して掲載することで、求職者に親しみを持ってもらい、応募意欲を高めることができます。

写真や動画を通じて、スタッフや利用者との和やかな交流や、施設内の明るい雰囲気を視覚的に伝えられ、求職者が「この職場で働きたい」とイメージしやすくなります。
写真については、スタッフが利用者と交流している姿や笑顔の写真を使うと、温かさや働きやすさを強調しやすいです。
動画については、利用者との心温まるエピソードや交流の様子を動画で見せると、求職者の共感を得やすくなります。

業界の社会的意義を伝える

介護業界は高齢化が進む日本において必要不可欠な存在です。介護業界が担う社会的意義を強調することで、求職者に「この仕事が社会にとってどれだけ価値があるものか」を理解してもらい、共感を呼び起こすことが可能です。
「社会に貢献できる」「誰かの役に立つ」という明確な意義を伝えることで、求職者のモチベーションが高まり、仕事に対して使命感を抱きやすくなります。

介護業界は時に「大変そう」というイメージを持たれることもありますが、社会的に必要不可欠でやりがいのある業界であることを伝えると、ポジティブな印象を与えられます。
特に、未経験者に対しては、介護の仕事が社会全体を支える重要な役割を果たしていることを伝えることで、仕事への理解が深まることでしょう。

自社が求める人物像や他社と差別化できる点を明確にする

採用サイトを制作する際には、自社はどのような人材を求めているのかという人物像を明確にしなければなりません。ターゲットとする人物像が曖昧なままでは、採用サイトを制作しても効果は薄いでしょう。
求める人物像を具体的に明示することで、求職者が「自分がこの職場に合っているかどうか」を判断しやすくなります。

また、求職者は複数の企業の採用サイトを見比べているため、自社は他社とどのように違うのかという差別化できる点を明確にすることも欠かせません。
介護業界には多くの企業が存在するため、自社の特徴をアピールすることで、他社との違いを明確に伝えることができます。これは、求職者に対して自社を選んでもらう決め手となり得ます。

介護業界で働くイメージが伝わるコンテンツを充実させる

業務の詳細や一日の流れなど、介護業界で働く具体的なイメージが伝わるコンテンツを充実させると、求職者が実際にその職場で働いているイメージを持ちやすくなります。
介護業界は、肉体的・精神的に負担が大きいというイメージを持っている求職者も多いため、実際の仕事内容や環境を詳しく伝えることで、働くイメージを具体化し、不安を減らすことが可能です。介護職の仕事に共感ややりがいを覚える求職者を集めるためには、業務の内容や魅力を具体的に伝えることが大切です。
それによって、ミスマッチを減らし、適切な人材を採用することができます。また、求職者が自社での勤務に対して抱くイメージが、実際の職場環境と一致していれば、長期的に活躍してもらいやすくなります。

自社の魅力が伝わる採用サイト制作ツールを選ぶ

採用サイトを制作する目的としては、自社のニーズに合った人材を確保することが大きな前提ですが、それ以外にも、採用コストの削減や、採用業務の効率化などを目的とすることもあるでしょう。
自社の魅力が伝わりやすい採用サイトを制作できれば、応募者の質が向上し、より少ないコストで、より効率的に採用活動を進められるようになります。

そのためには、デザインテンプレートが豊富か、カスタマイズ機能が充実しているか、動画や画像を簡単に埋め込めるかといった、使い勝手の良い採用サイト制作ツールを選ぶことが重要です。
これにより、サイトがより印象的になり、自社のブランドイメージに合ったものになり、求職者に親しみや信頼感を与えることが可能になります。

まとめ

日本では少子高齢化が進み、平均寿命も延びていることから、介護業界の必要性は非常に高いです。
生きていれば誰でもいずれは高齢化するものであり、若年層でも思わぬ病気や事故で介護が必要になる可能性もあります。自分自身や自分の身近な人が介護される側になる可能性は常に存在し、介護は決して他人事ではありません。

介護の社会的な必要性と意義を理解し、介護業界で働くことに関心を持っている人は一定数いるはずです。
介護業界にまつわるネガティブなイメージや誤解を払拭し、求職者に介護業界の魅力をアピールするためにも、採用サイトを通じて積極的に情報発信する必要があります。
魅力的で具体性のある採用サイトを制作できれば、志の高い良質な求職者が集まることでしょう。