美容室の求人に採用サイトは必要でしょうか？　美容師は給与・待遇だけでなく、美的感覚やサロンの雰囲気を重要視します。結論を言わせていただくと、視覚情報を伝えられる採用サイトの必要性は、他職より高いです。
美容師は離職率が高く、採用難易度が高い業種の一つです。特に近年では、労働観の変化に伴い、採用活動が難航している美容室も多いと言われています。

この記事では、美容業界の採用事情と採用サイトを制作するポイントについて解説します。
美容室を運営している方で、採用サイトの必要性に疑問を感じている方はぜひ、記事をご参照ください。

美容師の過酷な現実

厚生労働省が2024年10月29日に発表した職種別の有効求人倍率によると、美容師が属する「生活衛生サービス」の倍率は3.06でした。これは、1人の求職者に対し、3つの企業がアプローチをかけている状況です。
美容師と聞くと、若者が憧れる仕事の1つというイメージがありますが、現実には人手不足が深刻です。なぜ、こんなにも応募が集まらないでしょうか？
ここでは、その原因を美容師の過酷な現実を通して解説します。

高度な技術とトレンドキャッチ力が必要

美容師になるには国家資格の取得を前提とした高度な技術が必要です。これだけでも求人対象は絞られますが、美容師には更に「トレンドキャッチ力」を持っていることも重要になります。
トレンドキャッチ力とは流行や傾向、動向を理解し、それに対応する行動をとる能力です。つまり、美容師は技術だけでなく最先端のファッションやトレンドを把握し、それをヘアスタイルやビジネスに活かす力も求められるのです。

美容師は能力が顧客満足度に直結する仕事です。サロン全体の評判を下げてしまうリスクを回避するためにも、人手不足だからといって誰彼構わず雇うわけにはいきません。採用時に求められる条件が高くなりがちなのが、美容師が集まりにくい原因です。

拘束時間が長い肉体労働

一般企業が設定している年間休日の平均が120日程度なのに対し、美容師の年間休日は平均90日前後に留まると言われています。

また、美容室は幅広いライフスタイルを持つお客さまの来店に合わせるので、営業時間も平均で9.4時間と長くなりがちです。残業になることが多く、仕事自体も常に立ちっぱなしで手を動かす状態が続くので、かなりの重労働になります。
肉体に負担が掛かることもあり、9割以上の美容師が50代になる前に退職します。実質、体力のある若者向けなのも、美容師が集まりにくい原因です。

一般職と比較して低待遇

高いスキルと若い体力が求められる美容師ですが、その待遇は一般職と比較して良くありません。
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、正社員の平均月収が44万円ほどなのに対し、美容師を含む生活関連サービス業の賃金は27万円ほどでした。

また、美容業界は中小規模のサロンが大半を占めます。大企業と比較して充実した福利厚生制度を導入しにくい環境も、待遇差に拍車をかけています。
客観的に見て、仕事に求められる能力と負担が待遇と見合っていないのも、美容師が集まらない原因です。

美容師を集めるのに採用サイトが必要な理由

割に合わない部分がある一方、美容師はやりがいのある仕事です。美容を通じてお客さまの感謝を直接感じられる、ファッションや流行の最前線でスキルを磨いていける、など他職にはない魅力がたくさんあります。
それだけに、美容師の募集では「困難な環境をフォローしつつ魅力を伝えること」がカギになります。必然的に伝えるべきことが多くなるので、シンプルな求人広告だけでは足りません。ここでは、美容師を集めるのに採用サイトが必要な理由について解説します。

ビジュアルで伝えることが重要

美容師は自身の美的感覚をとても大切にしています。それだけに、自分と職場の美意識が共有できないと離職してしまうことが少なくありません。
このようなミスマッチを避けるためにもビジュアルで職場の雰囲気を伝えることが大切です。

採用サイトであれば、限定されたデザインに縛られることなく自社のカラーを前面に押し出せます。独自の魅力や雰囲気を写真などでアピールできるので、求職者の「イメージした職場とは違っていた」というミスマッチを防ぐことができます。

若者がメインターゲット

美容師の求職は若者がメインターゲットです。近年の若者のほとんどが、インターネット上から情報を収集します。そのため、インターネット上から情報を発信できる採用サイトの制作は非常に重要です。
求人情報を発信する方法としては、求人サイトを利用する方法もあります。求人サイトは検索上位に表示されやすいため、たくさんの人に募集を認知してもらえるのが強みです。

しかし、求人サイトはフォーマットや構造が決まっているため、自由に情報を追加できません。決められた枠内で、仕事に関するフォローや魅力を伝えるのは難しいでしょう。
自社制作の採用サイトであれば、具体的な仕事内容やキャリアパスなど、判断材料になる情報を詳細に伝えることができます。求人サイトを利用する場合でも、やはり採用サイトは制作しておくべきです。

必要なコンテンツや制作ポイント

美容師をターゲットにした採用サイトは、具体的にどのように制作すればいいのでしょうか？
ここでは、必要なコンテンツや制作ポイントを解説します。

サロン紹介で価値観を伝える

求職者とのミスマッチを防止するためにサロン紹介で価値観を伝えましょう。
サロン紹介では、美容室の雰囲気を伝えるために店内のデザイン、インテリア、照明などの写真を掲載します。美容師は見た目やトレンドを重視するので、ビジュアルで働きやすさやオーナーの美的感覚を伝えることが大切です。
文章では採用メッセージや企業理念や社是、目標を強調して伝えます。美容室がどのような方向性を目指しているかを明確にして、価値観を共有できるか確認してもらうことを意識しましょう。

その上で、その価値観がどのように反映されているかを提示できると説得力が増します。たとえば、チームワークを強調しているなら手厚い教育体制を紹介する、全国展開を目標に掲げているなら出店ペースや成長戦略をデータで示す、といった具合です。
サロン紹介で価値観を伝えることで、「イメージとは違っていた」といったミスマッチを防止しましょう。

給与・待遇は採用したい人材に合わせる

採用したい人材とのマッチング率を上げるために、ターゲットに合わせて給与・待遇を決めましょう。
例えば、新人であれば、成長できる環境やサポート体制に魅力を感じるはずです。経験者をターゲットにするなら、美容師が離職する理由を把握して、それが解消されるような給与・待遇を提示するといいでしょう。
ちなみに、美容師が離職する代表的な理由は「給与」「人間関係」「将来性」だと言われています。ターゲットの立場でニーズを考えて、給与・待遇を決めましょう。

キャリアパスや研修制度で不安を取り除く

求職者の不安を取り除くために、キャリアパスで将来像を可視化しましょう。
美容師は安定しているとは言い難い職業です。新人も経験者も「この美容室に勤めることで、どんなキャリアが積めるのだろう」と考えています。

例えば、新人であれば、美容師の登竜門であるアシスタントから、一人前のスタイリストになるまでにどれほどの期間がかかるか気になっているでしょう。経験者であれば、スタイリストからどんなキャリアが選択できるのか気になっているはずです。
このような不安を払拭し、将来像を明確化することは入社の後押しになります。求職者に安心感と動機付けを与えるためにも、キャリアパスで将来像を可視化しましょう。

モバイルフレンドリーなサイトを制作する

若者がスマホからスムーズに情報収集できるようモバイルフレンドリーなサイトを制作しましょう。
モバイルフレンドリーとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末でページを閲覧した際に、操作しやすい、見やすい状態であることを意味します。
美容業界のターゲットとなる若者は、物心ついた頃からスマートフォンを日常的に使用し、SNSを当たり前のように使いこなすスマホネイティブ世代です。せっかく採用サイトを制作してもモバイル対応が不十分だと、操作のしづらさ、ページの見づらさからすぐに離脱されてしまいます。

また、近年の若者たちは「スマホに対応していて当たり前」と考える傾向があります。スマホ対応が十分ではないと「古い、時代遅れ」といったネガティブなイメージを与えてしまう可能性が高いです。このようなイメージは、ファッションや流行の最前線で仕事ができるという美容師の魅力を否定しかねません。
採用側のアピールポイントを損なわないためにも、モバイルフレンドリーを前提としたサイト制作を心がけましょう。

まとめ

美容師の求人は、若い世代をメインターゲットとして、ビジュアルで訴えるのが基本方針になります。デザインの自由度が高く、写真や動画を掲載できる採用サイトは、美容師の求人媒体として適切です。
美容室の運営で人手不足にお悩みの方は、ぜひ制作することをおすすめします。