こんにちは。クリエイターのKです。今回もデザインのお話・・・ですが、Webからは少し逸れた分野のデザインについてお話しします。
私は最近建築デザインに興味津々です。
美術高校~デザインの専門学校と通ってきた私は、学生の頃にデザインの歴史は一通り座学で勉強してきた自負があるのですが、建築に関しては当時全くの興味の範囲外で、頭にちっとも入らず、テスト勉強には大変苦労した思い出があります。笑
有楽町ビルヂングと角丸窓
皆さんは建て替えのために今年いっぱいで閉館する有楽町ビルヂング、新有楽町ビルヂングをご存じですか?
▼有楽町ビルヂングの外観
私はこのカドを取った窓のデザインに強く惹かれるんです。でも、調べてもその名称がよく分からない・・・アール窓とか、角丸窓とか、色々な言葉を見つけては画像検索をかけるのですが、違うものがヒットするんです。
そして、このデザインの建築物は60年代とか70年代とか、日本が高度経済成長期の最中だった頃に流行したんじゃないかと推測しています。なんというか、経済的に上向きだった頃はこんな風にひと手間加えて、美的な魅力を追加する余力があったのではないでしょうか。笑
散歩の途中にこういったデザインの建築を見かけることがありますが、建物の古さ的に、2000年以降に作られたように見えるものはほぼないので、そんな風に推測しました。
建築に詳しい知人に尋ねたりもしたのですが、名称や歴史背景については首をかしげていました。ただ、その人の推測で心に残ったのは、「この有楽町ビルヂングを手掛けた三菱地所は、高度経済成長期に丸ノ内一帯のビルを次々と建造していたはず。きっとその頃の三菱地所がこういうデザインを気に入って?採用していたんじゃないかな。」ということでした。
三菱地所とアール・デコ
▼新丸ノ内ビルディングの外観
確かに、同社が手掛けた新丸ノ内ビルディングなどもカドの取れたデザインを採用しています。その方に聞いた話では、上の部分はあとから増設したものだということだったので、下の部分は建築当初(1952年)のものがそのまま(とまでは言えないかもしれないですが、手を加えたり改築をしたりして)残っていることになるんでしょうか。
そして、さらに関連付けをすると、このデザインの起源は、19世紀末から20世紀初頭のアール・ヌーヴォー(Art Nouveau)とアール・デコ(Art Deco)といった建築様式にさかのぼると考えられます。
特に、アール・デコ様式は、1920年代にパリで生まれて1930年代にかけて特に流行し、多くの建築物にこのデザイン要素が取り入れられました。この様式は、芸術とデザインにおける曲線的な要素、幾何学的な形状、装飾的なディテールを強調したものでした。
上の新丸ノ内ビルディングなどにも使われているカーブウィンドウは、その様式に一役買った技術という感じがします。ビルの角に取り付けることで通常の直角の窓とは異なる外観を持つ建物を作成するのに役立ちました。
まとめ
アール・デコやアール・ヌーヴォーという言葉は高校の美術史の授業で耳にタコができるほど聞いていたのですが、デザインの特徴などは字面でなんとなく把握するくらいで、受け身の理解度でした。
それが時を経て、こんな興味がきっかけで自発的に再認識することになるとは自分でも驚きです。笑
デザインの歴史においてこれらの様式の流行は本当に重要な出来事だったようですね。
そんな様式を踏襲した(と勝手に推測している)建築物がたくさん現存する丸ノ内エリアは、再開発がどんどん進んでこういったレトロな建築はどんどん姿を消してしまいます・・・個人的にはとても寂しいです・・・。
有楽町ビルヂングは、閉館までの残りの期間に足しげく通う予定です!本当に素敵な建築物なんですよ。
こちらの内装は新有楽町ビルヂングです。
この素敵な壁面タイルや階段の優雅な手すり・・・移築してくれないかなぁ。
また、今度はアール・デコの特徴を汲んだWebサイトなども紹介したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました♪