
『コトバとキャッチコピーについて考えてみる➀』を読んでいない方はこちら
前回、キャッチコピーの魅力について「人の感情を彩る究極のデザイン」だという説明をさせていただきました。
ではキャッチコピーには具体的にどんな種類があるのでしょう。
今回はより詳細な「キャッチコピーの種類」についてお話しします。
キャッチコピーには、大きく分けて2つの種類があります。
1:機能的ベネフィットコピー
機能的ベネフィットコピーとは、コピーライトの対象であるモノのメリットや、他よりも優れているポイントを前面に押し出したコピーのことを言います。
例として、
「○○増量中」
「こんなサイズ見たことない!今だけBIGな○○!」
「安さならどこにも負けません!○○%引き」
「○○は本格天然水仕込みです」
などなど。私たちが日常でよく見かける種類のコピーです。
機能的ベネフィットコピーは、2つの特徴があります。
とにかくよく使われる種類である
売り手が押し出したいことを前面に出せばコピーになるため、とにかく書きやすいです。
ポスターや広告だけでなく、スーパーのチラシやパッケージなど、あらゆるところに使われます。
コピーから商品へたどり着ける
機能的ベネフィットコピーは、売り手が対象の「どこよりも優れている点」を押し出すものであるため、コピーと対象を結びつけやすくなる傾向が強いです。(○○%引き、など大きなくくりで書かれているものは、逆にありふれたものになってしまいます。)
2:情緒的ベネフィットコピー
情緒的ベネフィットコピーとは、対象であるモノに消費者が触れた場合、どう感じるかを謳ったコピーのことを言います。
例としては
「少年の日に帰ろう」
「物より思い出」
「片思いをすると、右肩が濡れる」
などなど。
情緒的ベネフィットコピーの特徴としては、
対象の名前が入らない場合が多い
上記の例のように、モノやサービスの名前など、コピーの対象の名前が入らない場合が多いです。
コピーから商品へたどり着けないものが多い
対象の名前が入らないため、コピーを読んだだけでは何についての文章なのかわかりません。
そのため、他の対象に使いまわすこともできます。
それぞれのコピーの違い
書く前に重点的に調査する対象が違う
前回もお話ししたように、いかに短い文章でもキャッチコピーを書くには入念な準備と調査、ブラッシュアップが必要です。
この2つのコピーの種類では、その準備が違ってきます。
機能的ベネフィットコピーを書く場合は、コピーの対象を調べつくす
このコピーは対象のメリットを押し出すものであるため、ターゲットが誰であっても切り込む方法は変わりません。
よって、コピーの対象を詳しく知れば知るほど、相手の心に刺さるコピーを書くことができます。
情緒的ベネフィットコピーを書く場合は、ターゲットを調べつくす
対してこちらは消費者の心情を予想し、そこに訴えかけるコピーです。
従って、ターゲットとなる消費者がどんなキーワードに反応するのか、どういった生活状況なのか等詳しく掘り下げることによって、より相手の心に訴えかけることができます。
読んだときに反応する幅の広さが違う
機能的ベネフィットコピーは、広く浅く
強いメリットが記憶に残るため、大多数の人には見てもらうことができます。
しかしターゲットによって訴えかける方法を変えないため、深くまで染み込むことはなかなか難しいです。
情緒的ベネフィットコピーは、狭く深く
こちらは事前にターゲットを設定するという工程を踏んでいるため、反応する人数は限られます。
しかし、その範囲に特定して反応するキーワード、状況などを徹底的に調査しているため、心に刺さることが多いです。
結論
ここまでお話して言えることは、対象に応じてコピーの種類を使い分ける必要があるということです。
幅広く読ませたい時は機能的に、特定の範囲に大きく反応してもらいたいときは情緒的に…。
WEBのデザインにもより良くするには様々な方法があるように、人の心を彩るのにも様々な染め方があるということですね。
おまけ
広く浅くのはずの機能的ベネフィットコピーなのに、爆発的にヒットしたキャッチコピーがあります。
それが「としまえん」の
プール冷えてます
です。
メリットを押し出したはずが幅広い人に刺さりすぎてしまい、大ヒットした例です。
「としまえん」は毎年キャッチコピーを含め面白い広告を出しているので、気になった方は調べてみるのがおすすめです。