ECコラム

定期購入の種類と施策について

Webマーケティング
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はじめに

ECサイトを運営する事業者にとってのゴールは、もちろん売上を上げることだと思います。
新規セッション数や新規顧客数が語られることが少なくありませんが、既存の顧客にいかに継続的に利用してもらうかも同じように重要です。

 

「1:5の法則」というマーケティング言葉が存在しますが、これは新規顧客を獲得するほうが、既存顧客を獲得するより5倍のコストがかかるというものです。
新規顧客は既存顧客と違い、まだブランドや商品を知らなかったり、商品の良さに気づいていなかったりします。そのため、獲得のためには認知や比較などの購買行動を経る必要があり、獲得までに広告費等のコストがかかるためです。

また、既存顧客の重要性で言えば「5:25の法則」というものもあります。こちらは、顧客離れを5%改善すると、利益率が最低25%は改善されるというものです。

先ほどのように顧客獲得が5倍効率的であるのに加えて、単価が高かったり、紹介から新たな顧客を連れてくる可能性があることがその理由と言われていますが、物凄いインパクトですね。
既存顧客の重要性についてはお分かりいただけたと思いますので、今回は既存顧客からの購入を促す仕組みと、既存顧客ありきでマーケティングを考えた際の考え方についてお伝えしたいと思います。

継続購入を分類してみた

一言に既存顧客からの購買と言っても手法は様々なので、まずは既存顧客からの購入を促す主な仕組みを4つに分類します。

横軸は継続的に購入するものが同一か否かです。

例えば個人的にコンタクトを定期購入しているのですが、毎月同じものが送られてきます。

そのようなものが右側、毎回違うものを購入する場合は左側です。

縦軸はその製品が消費するか否かです。

ざっくり言うとなくなってしまうかどうかで、先ほどのコンタクトの場合には毎日1つずつなくなっていくので上側になります。

すると右上から左下までの4つに分類できるかと思います。この4分類によって仕組みや考慮すべき点が違うと考えています。右上のものから1つずつ見ていきます。

 

1 定期購入

ECサイトで一番一般的な仕組みかと思います。

ECサイト構築パッケージでもオプションとして定期購入を追加できるものが多いものになります。

こちらの仕組みを取り入れるべき商品は、使い切る時期の予想がつきやすく毎月同じ商品を受け取りたいもので、先ほどのコンタクトレンズの他にも、例えばペットフードや毎日使うスキンケア商品などが挙げられます。

顧客側のメリットとしては、定期的に購入する必要があるものが自宅に自動的に届くので、購買の手間が減ること、1度きりの購入より割引価格で購入できることが挙げられます。

事業者のメリットは、安定的に売上が見込めることと売上予測が立てやすいこと、在庫を抱えるリスクを回避できること、そこから派生して仕入れや人員コストの見込みを立てやすいこと、一人あたりの売上が高くなることなど、たくさんあります。

2 頒布会

商品が消費するもので毎回商品が違う(方が好ましいもの)の仕組みとしては、頒布会が挙げられます。

この領域で有名なものだとオイシックス・ラ・大地株式会社の提供する”Oisix”が有名です。

添加物を使わないこだわりの食材を購入できるサービスで、おいしっくすクラブというサービスを契約すると、旬の食材を使用した献立キットが毎月発送されてきます。

そのほかにも頒布会を行っているECサイトが数多く存在しますが、所感として食品やワインなどの飲料が多い気がします。

発送の頻度を事業者側で自由に設定できる点がメリットと思いますが、毎月商品内容を考案する必要がある点や、頒布を楽しんでもらうための価値訴求を行う必要があるため難易度は高いかと思います。

一方契約した顧客がファン化する可能性が高く、LTVが高くなるか可能性を秘めています。

3 サブスクリプション

消費するものではなく毎月同じものを購入するものとして、サブスプリクション方式が最近注目されています。
“subscription”はもともと「年間購読」の意味で、そこで言うと定期購入の意味合いが強いですが、

最近では「物を所有するのではなく、一定期間借りるという考え方」のことを指します。Apple MusicやNetflixがこのモデルの代表例として挙げられることが多いです。

それまでは映画1本いくら、音楽1曲いくら、という買い切りの形が主流でしたが、それらのサービスでは月額使用料を支払うことで無制限に利用することができます。

情報サービスと親和性が高いですが、洋服やブランドバック、コインランドリーの使用権など、定額で使用権を取得するサービスにも広がりを見せています。

海外では日本よりもサブスクリプション方式が浸透しており、更にたくさんのサービスが存在しています。

使い放題という点が最大のメリットなので、裏を返せば使い放題を特に感じるほど利用頻度の高いものである必要があります。使い続ける体験に価値を感じてもらう必要があるので、画タイトルや楽曲などの商品ラインナップを多く取り揃えたり、それをおすすめしたり、顧客との継続的なリレーションをはかる必要があります。

4 課金

現在だとECではなくゲームアプリなどでよく目にする仕組みですが、消費財でなく、同一のものを購入しないモデルとして課金モデルがあります。ここでは割愛します。

 

継続課金の評価指標と改善施策について

 

既存顧客からの購買にも様々なモデルがあることがお分かりいただけたかと思いますが、それぞれのモデルによってKPIや施策も違ってきますが、

概念は会員ビジネスで用いられることの多いAARRRモデルに当てはめて考えるとわかりやすいかと思います。AARRRモデルを用いて、評価指標と施策例について説明します。

前提として、AARRRモデルとは、”Acquisition(ユーザー獲得)”” Activation(利用開始)” “Retention(継続利用)” “Referral(紹介)” “Revenue(収益化)”の頭文字をとったものです。

先ほどまでに説明した既存顧客からの購買で見るべき点は” Activation(利用開始)” “Retention(継続利用)”となります。


参考:https://matome.naver.jp/odai/2139581971992823101

” Activation(利用開始)”

定期的な購買客へと転換させた数、その割合があてはまります。

定期購入(もしくは頒布会購入)会員数/全顧客数で表すことができます。この数値を上昇させるための施策としては定期的な購買のメリットを提示することにつきます。

定期購入では、送料無料や定期購入の際の値引き等の価格訴求が一般的です。

頒布会では、毎月のお届けにワクワクしてもらう必要があるので、ラインナップの訴求や企画の考案が重要になります。ランディングページを制作している事業者も多いです。

サブスクリプション方式の場合は無料お試し期間を設けているサービスも多いため、そのような場合には有料に切り替わるタイミングでのキャンセル率もKPIとして挙げられます。

“Retention(継続利用)”

顧客が継続的にサービスを利用しているかの指標です。

定期購入や頒布会の場合には、定期解約率が指標となるかと思います。定期購入の場合は長期契約者に対してのメリットを上乗せする、頒布会の場合には次回以降の商品を訴求し続けることが施策となります。

サブスクリプション方式の場合は定額で使い放題のサービスなので、どの程度の頻度で利用しているかが重要になります。

せっかく契約してもその後利用しなければ、短期間での解約に繋がってしまうためです。

KPIとして考えられるものは様々で、1人当たりの利用回数、利用時間、ページ閲覧数、コンバージョン数等々があります。

高める工夫としては、製品ラインナップの充実、サイト内のUX改善、メルマガやLINE、プッシュ通知などによるリレーション強化が挙げられます。

おわりに

新規の顧客獲得に目が向きがちですが、長期的な戦略を考えた際には継続利用を予め想定して構築することの重要性がお分かりいただけるかと思います。

定期購入などの戦略設計から、実装に最適なパッケージ選定、構築にいたるまで当社ではすべてお任せいただけます。

ECサイト構築をお考えの際には是非SPCへお声がけください。

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